生きものと物の違い ―生き物の衛生― ~野口晴哉著「病人と看病人」~

《野口晴哉著 病人と看病人より》

生きものと物の違い

―生き物の衛生―


生きものの体は、下痢をしている間は冷えているが、止まると温かになる。冷やしたら冷えるのは物であるが、冷やすとそこに熱が集まり、熱を加えるとそこの熱がなくなる。


温めると温まることもあるが、人間の体は余分に温めると湯冷めして、寒くなってくる。高い熱の出た後は、一旦平温以下になる。


水を浴びたり、冷水摩擦をしたりすると逆に暖かになる。ところが豆腐などは、どんどん水をかけても熱くはならない。水をかけたら冷えっぱなしなのだから、冷えているから温めるというのは、生き物に対する考え方ではない。


同じように温かい人を温めていれば、そこに熱の必要がなくなるから冷えてくる。だから腹巻きをするというのは、考えようによってはとてもおかしいことで、品物を包んで箱に入れるようなつもりになっているが、お腹を本当に丈夫にするには、日に何回か空気に当てて冷やした方がずっといいし、水道の水をジャーとかける方が、下痢ならば早く済んでしまう。


―中略―


何れにしても、(腹巻きを)とると丈夫になってくる。馬鹿でも利口でも、とりさえすれば腸は余分に働くようになり、丈夫になってくる。丈夫になると自分で判るのである。「私は丈夫でしょうか」と心配する人はいない。


丈夫になってしまうと「お陰さまで治りました」と言う。そして私が愉気をしたためだと思い込んでいる。そのお陰で私も生活しているからいいようなものであるが、自分の体の力が働いて自分の体を丈夫にしたのだとは思わない。そう思っている限り、私が上手と言われるだけである。


けれども私が上手になっているのでは、大勢の人は丈夫にならない。また頼るだけである、整体協会でいろいろな会を開いているのは、自分の体の力で治り、自分の心の働きで治っていくのだということを自覚してもらいたいからである。


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やさしい野口整体

〜野口裕介(ロイ)先生に捧ぐ〜 Facebookページ「やさしい野口整体」に宮崎雅夕先生が投稿された記事の保存版サイトです。