乾く ~野口晴哉著「体運動の構造」~

《野口晴哉著 体運動の構造一より》

乾く


『人間の皮膚は生きている限り、湿度を失わぬものである。どんな時に乾くか。ギョッとしたり、望みを失ったり、空腹が長く続いたり、裡(うち)の弾力の欠けた時に生ずる。

乾くことも、体の言葉として読むべきであろう。』


前文略


秋の入り口でも水分が要るのは空気が乾いてくるからです。しかし十一月からの初冬の時期は、特に温かい飲み物が一番必要な時期です。


皆さんも水分を多くお摂りになるようお奨めします。体の弾力が違います。

年を取って水気がなくなるなんていうのはこういう時期に飲まないからです。


春にいくら飲んでもそれは吸収されないで出てしまう。

一年中飲んでいいというわけではないのです。


中略


水はただ飲んでもすぐには身につかないのです。少しの水で暮らすように習慣づけられていますので、余分に飲むとサーツと小便が多くなる。一回の量も多い。回数も多いというようになるのです。


ところがそれでも飲んでいると、だんだん回数が少なくなって、一回の量が多くなるという傾向になるのです。そういう傾向に早くなるためには、一週間、或いは一週間以上水を飲まないと身につかないのです。


ところが風邪など引いた時に飲み出すと、そういうことなしに飲むと一緒に、サーツと身中に浸み込んで初めから小便が多く、回数が少なくなるのです。だから風邪を引いた時を機会に水を多く飲むというのがよい方法です。


そうでない時は、口に水を含んで、ネバネバするまで我慢して、それを吐き出してから少しずつ飲むと、非常に簡単に吸収します。


風呂の中ですると、もっと簡単に、一週間かかるものが三日目から、もう小便の回数が少なくなって、一回の量が多くなるのです。


それを風邪を引いた時に、まだ変動があるうちにやるのです。すると風邪も途中で抜けてしまいます。多分風邪を引く必要がなくなるのでしょう。


中略


私も人に奨めるようになると、水を飲み出すのです。自分では判らないが、乾いている時に飲むと胃袋に溜まらないのです。体のどこかに浸み込んでしまうのです。だから何杯でも飲めるのです。


しかし、胃袋に溜まるようになったら、そこで止めるのです。胃袋に溜まっても飲んでるのはおかしい。金魚ではないのですから。


秋から初冬にかけては温かい水分を、冬になったら水を飲むことを心掛けると、この時期の風邪は非常に早く抜けやすい。風邪が抜けるだけでなく、体がそれで力を得るのです。


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やさしい野口整体

〜野口裕介(ロイ)先生に捧ぐ〜 Facebookページ「やさしい野口整体」に宮崎雅夕先生が投稿された記事の保存版サイトです。