発汗と、その処理 ~野口晴哉語録「月刊全生平成6年5月号」~
≪野口晴哉語録 月刊全生平成6年5月号より≫
発汗と、その処理
梅雨の時期は寝ると首に汗をかき、明け方になって冷えるから、その汗を引っ込め易いのです。
首の汗を引っ込めると体に故障が起こる。例えば、咳がなかなかとまらないとか、手や足が痺れるとか、食欲の異常(食べ過ぎ、減退)とか、又、下痢が続くとか、風邪がなかなか抜けないというのも、首の迷走神経の緊張具合と関連のある胃袋の働きに変化が起こるからです。
生理的に頭が疲れると、首に余分に汗が出易い体癖の人は、特にそうなり易いが、そうでない人も冷えの為に疲れが抜けにくいのは梅雨の時期だけです。
暑くなって空気が乾いてくると、自然に発散するので汗は溜まりません。引っ込んでも、また出てきますから、冷えてもあまり影響は受けないのです。
ところが空気の湿度が高いと発散できなくて溜まるのです。汗の発散は体温の調節が役目ですから、汗が余分にタラタラ流れているのは、汗本来の姿ではないのです。冷えるのも汗が溜まっているからなのです。
最近は、部屋や自動車にクーラーを使うので、風が直接首に来て冷やしてしまう。或いは、自然の風に当たることを含めて冷えやすいのです。
風呂から出て、すぐ扇風機に当たることは、脳溢血製造法です。その首の冷たくなった処を触ると普段より太くなっています。冷えるより鈍り、鈍ると硬く太くなってくる、それが冷えの特徴です。
背骨なども硬くなって、押しても弾力がない。また心臓に異常を起こす人もあります。血圧に変化を起こし、血行変動を起こす人もあります。
しかしこの時期は、「汗が引っ込んだな」と思ったら、後頭骨と第一頸椎の間(頸上)を温めますと、ケロッと落ち着いてしまいます。
温めると首に汗が出てよくなるのです。従って梅雨の時期の一番大きな大事な問題は、首の汗の処理と、頸上を八分間、温めることです。
夏になると汗がどんどん出てきます。それは汗を出すことを必要とする環境になったからなのです。だから夏は汗がスラッと出れば、体に故障は起こさないが、出た汗を引っ込めれば異常を起こす。
そこで整体操法は、ただ汗が出にくい状態を調整して、自然に汗が出るようにすることが目標になります。梅雨の時期を越しても、胸椎五番の飛び出している人は、入梅時期と同じような状態が続きます。
体がだるくなり眠くなり、汗の発汗がつかえているので、体もベタベタして風呂に入っても体が乾かないのです。
体の調子がよくなったとか悪くなったとか言ってるなかに、季節の移り変わりがある。環境がその人の生存に適うよう移り変わったと見るべきで、それを操法や何かで他動的によくしたように考えるのは錯覚です。それを見極めておかないと次の環境の変化に対処できません。
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