小学二年生の男の子 ~野口晴哉先生の質問に答えて~

《野口晴哉先生の質問に答えて》


〈質問〉

小学二年生の男の子。学校の成績は良い方ですが、口に締まりがなく、よく涎をたらし、食事の時はガツガツして食べたりします。この子の扱い方指導法をお教えください。


〈答〉

小学二年生というと七歳ですから、涎を出す時期は過ぎています。涎は生後一、二歳までは健全な栄養状態を示すものですが、七歳になって涎を出すのは、鼻の奥や耳下腺に異常があるか、そうでなければ、心の抑圧、特に感情の抑圧がある場合であります。


こうしたいという要求を抑えるとそうなります。この感情抑圧が重なると、突然泣くとか、怒るとかいう突発行為が起こります。私共は涎を垂らしている子供と聞くと、感情の鬱散がスムーズにいっていない子供を連想します。


感情が鬱散できない中には、絶え間ない不安があります。「こうしなさい」「こうしてはいけません」という、親切で言っているつもりの親の言葉が、子供の自由な心の動きを抑圧し、不安にしていることを知らねばなりません。その他不安の原因は色々ありますが、不安があると感情はスムーズに流れません。


不安になると、大人だと煙草を無闇に吸うとか、お菓子をやたらにつまむことがあるように、ガツガツ食べるというのは不安に対する調整作用です。


こういう場合、その抑圧された感情を一度分解することが必要であります。泣かせるなり、怒らすなりして、相手の中にあるものを全部吐き出させることです。


けれども泣くだけ泣けば、放っておいても感情が全部鬱散できるかというと、泣いている中にも気取りや計算があって、ワーッと泣いても肝心なところは鬱散できない。


例えば喧嘩でも、一方が冷静に構えていれば、他方は感情をむき出して怒れないように、親が冷静に見ていたのでは、子供は感情を充分には鬱散できません。


ですからこちらも時には真剣になって心から怒ることが必要です。それをしないで、ガツガツして手づかみで食べることばかり咎めても、それは変わりません。


こういう子供を指導するには、どこかでそういう心と心との対決をするということが必要で、一度お互いの気が通じてしまえば、その後は無意識にお互いの感情を乱さないように注意するようになりますし、心が通じあった後は、何の工夫も計画もいらず、指導法もいりません。

やさしい野口整体

〜野口裕介(ロイ)先生に捧ぐ〜 Facebookページ「やさしい野口整体」に宮崎雅夕先生が投稿された記事の保存版サイトです。