体癖的動作 ~野口晴哉先生講義録 平成16年3月月刊全生~

《野口晴哉講義録 平成16年3月月刊全生より》

体癖的動作


咄嗟の時、思わずとる体勢にはその人の素質がよく現れる。丁寧に見ればその素質の力の入り処、抜けたまま入り難い処が分かるはずだ。


一種は緊張すべきことに出会うと一歩退く、そして首をかしげる。

二種は肝っ玉が縮み上がったように体中を硬直させる。

三種は戸惑った顔をして抜け道を探すが、水落は硬くなる。

四種は先ず水落が硬くなり、四肢に及ぶ。

五種は逃げかけて振り向く。そして闘うなり逃げるなり態度を定める。

六種は動けなくなる、そして心の裡では立ち向かう考えで一杯になる。

七種は咄嗟に近づき見極める、体を捻って構えながら闘うか逃げる。

八種は腰を抜かし目を閉じる。

九種は突き進む、一瞬ひるむが、次の瞬間には勝利への道を探す。

十種は動じないで、見極めて腰を抜かすか逃げる。

我関せずという顔のできるのは、一種、五種。

突き進むのは七種、九種。

逃げるのは三種。

十一種は仮死状態を使う虫の如く、十二種は何が何だか分からず緊張しない。あとになって分かれば騒ぐ。

一種はそのあと首が疲れ、

二種は首から肩が硬くなり、

三種は水落が硬いまま残り、

四種はホッとして四肢が震える。

五種は脚が疲れる。

六種は体中の力が抜けたようになる。

七種は腰に緊張が残る。

八種は体中が硬張ったままであり、

九種は何事もなかったようである。

十種はあとの方が緊張するが、

十一種はケロッとしている。

十二種は過ぎ去った怖ろしさに怯える。体中が硬張ったままで気が抜けてしまう。

九種は疲れず硬張りは残らないが、十種は後頭部が重い。

十一種はさっぱりした顔で硬直は残らず、却って元気になる。

十二種は翌日まで硬張りを持ち越す。

重荷を持っても

一、二種は首が疲れ、

五、六種は腕か疲れ、

七、八種は腰が疲れる。

三、四種は持つ物の性質で疲れる場所が違う。第一、自分のお弁当だったら決して疲れないが、他人の物だったら体中が疲れてしまう。

九、十種は頭を使えば脚が疲れ、上肢を使えば頭が疲れる。

そして疲れた時

一、二種は前屈する。

三、四種は足を組む。

五、六種も前屈するが胸部が空虚になり、

七八種は体を捻る。

九、十種は屈む。

十一、十二種は伸びをする。

これは疲れたところを弛める為の動作であるが、子細に見れば、体癖的疲労偏在箇所の発見に役立つであろう。


写真

by H.M



やさしい野口整体

〜野口裕介(ロイ)先生に捧ぐ〜 Facebookページ「やさしい野口整体」に宮崎雅夕先生が投稿された記事の保存版サイトです。