おむつ ~野口晴哉著「叱言以前」~
《野口晴哉著 叱言以前より》
おむつ
いつ迄もいつ迄もおむつを当てられている子供がいるが、子供が排尿を教えないのだろうか。いや決してそうでは無い。
親が排尿の要求を無視しておむつに任せ過ぎたからだ。小児のせいでは無い。
小児はおむつが濡れるので泣くのだと大人は思い込んでいるが、小児は尿が溜まるとそのことが不快になって泣くのだ。
泣いてそのあとに漏らすものなのだ。
それは生まれた最初の日からそうなのだ。遅くも一週間経れば明瞭に漏らす前に泣く。泣く前に不快な顔をする。その時にそっとおむつをめくってやれば、しばらくして排尿する。
開けて排尿する方が快いことは赤ん坊でも判る。それ故表現を日増しにハッキリさせる。三週間も経てば、その時に抱いて排尿させればするようになるものだ。
おむつを濡らすのは親の不注意だ。小児のせいでは無い。それを小児に叱言を言うと反って教えなくなる。排尿するのが悪いことだと思い込むからだ。
これは三ヶ月を過ぎるとハッキリしてくる。要するに排尿を教えるのは尿の溜まるのを不快に感ずる生理的要求の本能的表現であるのだから、おむつをたよる気持ちを親が捨てれば必ず判ることなのだ。
写真
by H.M
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