~野口晴哉著 「躾の時期」~
《野口晴哉著 躾の時期より》
虫が湧いたというだけで感受性が変わってくる。お腹が空いた、小便を我慢している、大便がつかえているというだけでイライラしてくるというように、心と体はみなくっついている。
ところが面白いことに、小便がつかえている時には茶色に対する感受性が非常に亢まってくる。イライラしている時には赤い色に対する感受性が亢まってくる。
黄色という色は波長が長い色である。赤という色は波長が短い色である。そこで赤とか紫とかの系統の色はエネルギーが余っている人に刺激的に働きかけるし、体の弱っている人には黄色い色が休まるように働きかける。
真白な壁に少し黄色をかけると部屋が温かに感じるのはそのためである。青くすると落ち着く。しかしもっと濃くすると陰気になる。
そうやって壁の色でいろいろ部屋の雰囲気を変えることができるということは、色自体のもつ感じというものが人間に働きかけるからである。
芝生の緑が部屋の前にあるだけで、どこか気持ちが落ち着いてくる。それもまた体の状態によって受け入れ側の人間の感受性が違えば、色に対する感受性も違ってくるのである。
黄色い色などは、草を植えて黄色い布をかけておくと、肥料をやったより成長を速める効果がある。黄色が成長の色だと言われるようになった所以であるが、東洋では昔から五黄と言って、波長の一番長い、光線の中心になる色を黄色とし、産着を黄色で作っていた。
また他の動物でも黄色い色をしているのが強い。虎の威を借る…と言うが、実際に、尾っぽの先が黄色くて、草むらでその尾っぽだけ振っている獣もいる。蜘蛛にしても他の動物にしても、大きくて強いのはどれも黄色い色をしている。
或はところどころ黄色くなっていて、それを見せびらかすのがたくさんいるということは、生物にとって黄色がそれほど強い色、育つ色だからである。そんなことから人間も黄色を温かに感じるし、体が疲れるた人は特に黄色に対しての感受性が亢まってくる。
ともかく生理状態とある色との関連というものは意外に密接なもので、そのつながりは、お腹が空いてイライラするのよりももっと近い。
写真
by Hitomi スマホ
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