野蛮人の体にかえれ ~野口晴哉先生語録~
《野口晴哉語録より》
野蛮人の体にかえれ
何か治療法を論じることが多くなるほど、防衛力が強くなるほど、人間の体は弱くなって行く。
そこであるかないか判らないような気、その気をおくるというそれだけのことで丈夫になるということは当然のことと、理に適っていることだと考えられるのです。
やり方は野蛮人のようだけれども、そういう野蛮人の持っているる体力その人のものにするにはふさわしい方法だと思うのです。
小説家の安岡章太郎さんがこの間、自動車にぶつけられてムチウチ症を起こしてここへ来ました。事故の現場から加害者や何かくっつけたまま、ともかくここへ駆けつけてきた。安岡さんは、その話を聞いた友達から「救急病院にも行かないで、整体協会なんぞへ行ったのか」と言われて「そうだ」と答えたら「お前までが無知蒙昧な野蛮人になったのか」と言われたそうです。
安岡さんは憤慨しておりましたが、私は「野蛮人でいいのだ。整体協会が無知蒙昧だというのは別にして、私たちは野蛮人の体力を取り戻すことを目標として行動している。だから血が出ても止めるための手段を講じない。熱が出ても下げようとしない。悪いものも良いものも選り取ろうとしない。病気になってもそのまま暮らす。自分の体が病気の刺激によって恢復する力を呼び起こすようにもっと病気のひどくなるような方法をとるかも知れない。
ともかく、自分の体力を呼び起こして、自分の体力だけで丈夫になることが唯一の目標なのだ。だから野蛮人でいいではないか」と言ったら「ウーム」と言ってニヤニヤしておりましたが、その後治ってしまったから彼も野蛮人になり切ったのでしょう。
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by Hitomi スマホ
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