独立の時期 ~野口晴哉先生語録~
《野口晴哉語録より》
自分の子供が反抗するとか、親を馬鹿にするとか言って怒っている親があるが、それは自分の子供が成長して独立の時期に到った証拠であるから、どちらかと言えば祝ってやるべきことなのである。それをプンプン怒るとしたら、親がまだ独立期になっていなかったのかもしれない。
人間には独立の時期がある。これを“反抗期”と今の教育学者は言うけれども、反抗期というものは生き物にはない。
ただ独立する時期になると批判の精神が出てきて、自分を生かそうとすると、自分の中にあるものを伸ばす方の力が亢まってくる。
最初の独立の時期の徴候として、こういう心が、今まで赤ちゃん扱いをしたり、赤ちゃんの頃から惰性的に庇う守るの一点張りできた、そういう生き方から離れようとする。
そういう時には自分から通じ合いを否定してくる。それを頭から反抗期だからと見るのはどうかと思う。
そういう時には、子供の独立を認めてやる。どうせまだ本当の独立はできないのだから、独立する知恵をつくってやる。
例えば、ボタンを自分で嵌めさせて、なかなかできないところだけを親がやってやるというようなやり方を止めて、まず自分でできそうもないところだけを親がやって、「後は自分でなさい」と子供にやらせる。そういうように育てて行けば、子供の中の独立の要求は満たされる。
完成を親の手でやってしまわないこと。子供自身にやらせること。手のない家では、親がちょっと手伝って、「後は自分でやりなさい」と言われるから独立の要求が自然に満たされるが、手があり過ぎるところでは、自分が先にやって、後を人にまとめられてしまうから独立の満足がない。
だから手のあるところでは、ともすると独立の時期に子供を歪めてしまうことが多い。そういう時期には、なるべく子供自身の手で完成させるようにすることが第一である。
写真
by Hitomi デジカメ
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