眠りや食物の自然 ~野口晴哉先生語録~
《野口晴哉語録より》
心静かに食べ、足りたら残すこと。勿体ないという理由で残さぬよう心がけている人もいるが、胃袋はゴミ箱の代用品ではない。
二日酔いするしないも、一杯の飲み過ぎからである。その一口を慎むことが養生というものである。
しかし人間の胃袋は、時に食べ過ぎても差し支えないようににできている。時には食べ過ぎることもよろしい。食べ足らぬこともよろしい。
一口や二口食べはぐれてもくよくよするには及ばぬ。食いたくないのに食べておくということなど食いしん坊の考えることである。
眠ることも同じである。眠くなるから人間は眠るのである。疲れをとるために眠るのではない。そんなことを知らない時から眠っている。疲労回復のために眠るなら、眠りを訓練し、質を高め、深く眠るように工夫したらよい。
眠りが深くなれば短くてすむ。人生の三分の一を眠ってしまう必要はない。眠くないのに眠ろうと努める必要もない。なんとか眠ろうとあくせくしているひともいるが、長く眠りたいなら墓の下に行けばよい。
生きているということは起きて動くことである。眠くなるためにやむなく眠るのである。このことをしっかり腹におさめておけばいつも熟睡する。
体の要求から出発して生活すれば、その様式は簡素になる。然る後にご馳走を食べることを考えても、狸寝入りすることを考えてもよいが、まず、眠りや食物の自然ということを会すべきである。
写真
by Hitomi デジカメ
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