深く眠るには ~野口晴哉先生語録~
《野口晴哉語録より》
深く眠るには如何にするか。
充分働くことである。余力をできるだけ少なくして眠ることである。
脱力を妨げる心の不安恐怖を少なくすることである。何時間眠らねばならぬとか、眠れぬと明日の仕事に差し支えるとか等々、不安や恐怖を抱えて眠ることは、脱力方法としての眠りの本質を壊すものである。
この如く気を配ってもなお眠れぬのは何故か。体の部分の緊張を弛めるということが難しいのである。余力を捨て去るということが困難なのである。
溌剌と力一杯働くということができないのである。ここに妥協的な調整方法の必要が生ずる。しかし、
―中略―
妥協のための調整方法であっても、不随意筋に行われぬ限り全体の調和から離れてしまうということを知らねばならない。
人間の自律作用がもっとはっきりその生活に行われるよう暮らすことが、人間の健康法として一番大切なことではないだろうか。
その意味において必要なことは、健康のために色々の方法を講ずることではなくて、その方法を捨て去ることである。
知識の精華である治療や養生の方法を捨て去り、毀誉褒貶(きよほうへん)、利害得失という人間生活の大事を一旦捨て去って、自分の体の力でひとまず生きるということを為すことである。
方法を講ずるのは次のことである。まず脱力し体を弛め、心を休め自然の静寂の裡に自分を生かすことが何より必要なのである。
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