水上村教育論集 子供の世界 ~野口晴哉著作全集第二巻 初期論集Ⅱ~
《野口晴哉著作全集第二巻 初期論集Ⅱより》
水上村教育論集
子供の世界
子供には子供の世界がある。之を理解するものだけが子供の世界に入れる。理解のないものは子供の世界に大人を持ち込む。
そして子供を大人の小さなものにしてしまう。大人は先ず見栄と外聞を気にして子供に教えるが、之は大人の便宜の為に子供をいじくるというものである。そして日本には、こういう大人の便宜な子供が褒められる習慣がある。
しかしこういう子供は自分で思いついたことを実行しないで、物真似ばかりする。日本人を物真似人種にしてその独創性を奪ったのは、こうした育て方にも責任がある。
もっと子供らしい活き活きした子供にせねばならぬ。子供の空想や思いつきを嘲笑ってはならない。子供の実行力を危ぶんでばかりいてはいけない。思いついたことを失敗をかえりみないで、どしどしやれるようにしなければならない。子供らしく生かすことはそれ故大切なのである。
Sちゃんが、何をするにでも一々聞いてからでないと何もできない、自分で考えるということが全くないのは、教えることの度を越した為である。
無論血もあろう。代々殿様で家来から何でも手をとってもらっていた習慣の残りかも知れないが、この際、すっぱり改革の第一歩を踏み出さねばならない。もう世の中は変わりつつある。自分で考え、自分の考えを実行してゆくよう育てなかったらそれは不幸である。
写真
by H.M. デジカメ
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