季節の変化と体 2 〜野口裕介(ロイ)先生講義録〜
≪野口裕介(ロイ先生)講義録より≫
季節の変化と体 その2
近頃、大学の入学式を秋にしよう、九月にしようということが言われ出してきました。それは私たち整体協会の立場から言うと、大変よいことだと考えています。
私の父などはずいぶん前からそうした方がよいと言っておりました。「春先の二月、三月の頃に子供たちを神経的に緊張が高まる状態にさせることは、神経衰弱を増やしてしまう。神経系統の異常状態というものを増やしてしまう。だから受験などは三月以外の月にすべきだ」と。
九月に入学式ということになると、六月、七月くらいに試験ということになるのでしょうかね。そうなると受験によるノイローゼとか精神的な疾患などはだいぶ減ってくるだろうと思います。
春は神経的な過敏が生まれやすい時期でもあるのでして、十七、八歳くらいの思春期になると、それまで何でもなかったのに急におかしくなってしまう人がいます。
ある意味で、精神病の素質を持っている人によくあるのですけれども、それもたいてい三月とか四月に起こってくることが多いのです。ですから、三月の時期に神経的に余分な緊張感を与えることはあまりよいことではないのですね。
それでは春になると、体を整える方法としては頭に愉気することが多くなるのだろうかというと、あまりそうではないのです。春の操法というと、どちらかというと肩の周囲であったり、骨盤の周囲であったりすることが多くなります。
それは一つには春という特殊事情というものがあるのかもしれません。猫が春先になるとニャーニャーと急に騒ぎだしますね。いわゆる発情期というものがあるわけですけれども、人間もまた原始の時代には、春にそういうものがあったのだろうと思うのです。そういう名残りが人間の体にはまだあるのですね。
春先という季節は、肩や肩甲骨の周囲が硬張って動かなくなってくると、頸椎の二番という処が曲がってくるという感じになりやすい。
神経的におかしくなる人が多くなる理由の一つに、頸椎の二番が曲がってくるということがあるのです。それで体が弛まなくなることが原因の一つでもあるのです。
性の動きが上に、頭に上がってしまうと、性の動きが高まることによって却ってそれが頭の中に様々な現象を起こしてくる、ということがよくあるのです。それで体が弛まなくなることが、原因の一つでもあるのです。
特に春先は、一番そういう神経的に過敏な状態になることが多いのです。
ですから春の操法といった場合に、確かに春というのは一年の中で一番体を整える上で都合がよいのですけれども、そういう頭に上がってしまった力を下半身に下ろすということが大事なことになります。
つまり、性の動きを性の動きとして、体自体でそれを感じられるようにしておくことが大事になるのです。
春はそういう神経的な過敏に対しての処理ということが大切で、春先に体を整えておくと、そういう過敏な状態があまりなくて通ります。
そういうタイプの人がいて、毎年春になるとおかしいとか言いますけれども、そういう人は特に二月に多い。体の春は気候の春より前倒している感じがあります。
先ほど春を利用して体を整えると言いましたけれども、体に弾力が出てきますと、春になることによって今度は体が整う形になってくるのです。
写真 by H.M. デジカメ
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