季節の変化と体 1〜野口裕介(ロイ)先生講義録〜

≪野口裕介(ロイ先生)講義録より≫
季節の変化と体 1

前文略

例えばこういうように考えていただけば良いと思います。
最近は出産する時に「整体式出産で産みます」とかよく言われていますが、別段整体式の出産方法があるわけではないのです。私達は出産ということを通して体を整えることが目的なのであり、出産を通して体を整えることができるのだということを主張しているのです。

女の人は妊娠すると骨盤が大きく広がって、出産後にそれがまた縮んできますね。つまりそういう体の大きな変化を上手に利用して体を整えるのだと言っているのです。

同じように風邪を引いたというような場合でも、その風邪を上手に経過することで体を整えることができると考えているのです。

季節の変化ということもそれと同じなのでして、春なら春。夏なら夏、秋なら秋という季節。気候の変動というものを利用して体を整えることができると私達は考えているのです。

例えば冬や今の時期に体を整えても、それがずっと持続するかというと、なかなかそうならないことがよくあります。もちろん臨時には整えられるのですよ。少し骨盤やら脊椎や関節の位置を変えることで整えることもできるのですけれども、今やったとしてもそれは準備の段階にしかならないのです。

それでは一年の中でどの季節に体を整えたら一番持続し、また成果をあげられるのかと言うと、春なのです。春は体を整えるということに一番適した季節なのです。

そういう意味では、秋とか冬とかいうのは、いわば春のために耕したり。種まきをしている時期なのだと思ってもよいのですね。春のための準備の季節でもあるのです。

そして春になってひとつの変化を誘導する。そういうように使うことができるわけで、それを私達は春の操法と呼んでいます。

まあ。そういう技術の問題でお話ししてもなかなか分かりにくいでしょうから、もう少し体自体の気候に対しての変動、変化ということでお話してみようと思います。

例えば、人の体を一年を通して観て行きますと、今の秋の季節というのは、ある意味でその年の夏の状態がよく現れてくる季節でもあります。

夏が終わって秋になったこの時期に、或る年代の人たちの体を観ていきますと、〝ああ、老けたな〟という感じがする時があります。特に七十代、八十代、九十代といった歳をとった人たちは、一夏終えるとぐっと老けたなと感じてしまう。皆さんも隣の人の後ろ姿を観てごらんなさい。

夏というのは排泄の誘導が盛んに行われる季節です。それが、歳を取って排泄する働きが鈍くなってくると、夏を過ごすことがやたらと苦しくなってしまう。

そして本来活発に排泄する夏という時期に排泄がうまくできなかった人たちの体を、九月、十月という秋の季節に観ていくと、くたびれたという体の状態になっているのです。

また、秋という季節になりますと、私達は頭の操法とか、頭に愉気していくということが多くなります。それは秋には神経系統の操法というものが必要なことがよくあるからなのですが、神経系統というよりは首から上を用いて体を整えるのだと思っていただいてよいです。ただ頭皮を愉気しているだけなのですけれども、秋という季節はそれで体全体が整ってくる感じがあるのです。

ですから私たちは秋の季節になりますと頭の穴追いの愉気ということを致します。頭の穴追い自体は一年中いつでもできますし、いつやっても構わないのですが、やはり相手の体がそれを受け入れやすい、受け入れにくいということがあって、頭の穴追いを受け入れやすい条件となると、圧倒的に秋という季節になるのです。

つづく

やさしい野口整体

〜野口裕介(ロイ)先生に捧ぐ〜 Facebookページ「やさしい野口整体」に宮崎雅夕先生が投稿された記事の保存版サイトです。